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日立のさくら歴史探訪 併記念として植樹される等々、 市内にはすでに十数か所に植 えられている。特に日高交流 センターの日立紅寒桜は花期 には新聞をにぎわしている。 また、水戸の観梅と花期を同 じくしており、ゆくゆくは水 戸の梅、日立の紅寒桜.と言 われるような植栽を計画し、 市民の皆さんの心を癒し、さ らに市の観光資源になること を期待したい。現在約百本の 幼木が育成されている。 山川 敏夫 かるため移植せざるを得なく なり、平成十四年一月に当時 の日高公民館前に夜を徹して の移植作業が行われたが、翌 十五年早春には開花したもの の、期待に添うことなく秋に は枯死してしまった。これを 補うため、かみあい中央児童 公園の二世代第一号を平成十 五年十一月、原木近くに移植 し現在に至っている。 新品種であることがほぼ確 認された平成十三年、種苗法 に基づく品種登録制度により 農林水産省に「品種登録出願 申請書」を提出した。しかし、 原木枯死というアクシデント があり余儀なく芽接ぎされた 二世代の幼木で経年の形質観 察となった。九十二項目にお よぶ重要な形質観察と記録が 行われ、審査の結果、平成十 八年八月二十二日に品種登録 証が日立市に交付されたので ある。幼木ではあるが日高交 流センターに芽接ぎ第一号が モニュメントとともにあり、 かみね公園頂上には十王町合 さくらを「(財)日本花の会」、 「多摩森林科学園」などに持参 し、品種を明らかにしようと したところ、カンザクラでは あるが開花期、花の形態、樹 形など他にはない特異なさく らであることが判明した。こ れを機に平成十一年秋には長 島正吉さん、門阪宗遠さんた ちがヤマザクラの台木に芽接 ぎをし、苗木作りを試み二本 が成功、第一号の二世誕生と なった(平成十五年春、初開花)。 平成十二年に「(財)日本花 の会・結城農場」で、さらに 芽接ぎを行なうかたわら、こ れと平行して試験管の中で苗 芽をつくるメリクロン(組織 培養法)による増殖に挑み、 試行錯誤の結果、約五十本の 苗木育成に成功した。 一方、 原木は、当時、小木津駅構内 にあって、根、枝が線路にか られたものではないことは言 うまでもない。駅構内線路脇 のこのさくらは日なたでは一 月中旬には開花し三月中旬に 満開を迎える。この時期にな ると通勤、通学の人々の目を 楽しませ、近隣の人たちには 受験シーズンに合わせ「合格 桜」とも呼ばれ、親しまれて いたようである。このさくら が大きく話題になりだしたの は平成十年の初め頃である。 「さくらのまちづくりを進める 市民の会」の会員で、すでに 昭和四十年代から市内外の学 校、公園等にさくら苗木の植 栽を試みている長島正吉さん がその中心人物である。この 日立市で昨年八月に自然交 雑と思われるカンザクラ(寒 桜)系のさくらが新品種とし て農水省より認定された。ヒ タチベニカン(日立紅寒=登 録品種名称)である。日立市 にとってはまさに画期的な初 めての発見である。市特有の さくらとして平成十三年には その名称を公募し、結果、「日 立紅寒桜」が選ばれた。 このさくらは昭和四十年代 のはじめ、緑化運動が盛んだっ たころ、鉄道沿線周辺等に地 域の皆さんの手で多くの樹木 が植栽され、小木津駅に植え られたものである。当時はも ちろん新品種と意識して植え .......................... .... .......................... 日立紅寒の形質  樹  形:傘状、亜高木性  花 弁 数:5個  花の大きさ:約2.5cm  花 の 色:淡紅紫色  花序の形:散形状(2〜3花)  開 花 期:1月中旬〜3月下旬 品種登録(農林水産省)  品種登録:平成18 年8 月22 日  登録番号:第14507 号  登録品種名称:さくら・日立紅寒  育成者権者:日立市  (種苗法第18 条第1項の規定による) 日立紅寒の主な特性 日高交流センターにある日立紅寒桜